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高血圧症の治療用アプリが薬事申請されたようです

[2021.09.14]

当院ではDTx(Digital Therapeutics(デジタルセラピューティクス):デジタルアプリなどを用いた技術で行う病気の治療のこと)を処方薬と共に使用することで、治療効果を高めています。現在、日本で承認されているDTxは当院の禁煙外来で使用している治療用アプリのみですが(現在は処方薬のチャンピックスが生産停止中ですので、禁煙外来自体が停止中ですが。。)、高血圧症を対象とした治療用アプリが薬事申請されたようです。

「薬の前にまずアプリで治療」CureApp 世界初のDTxで変える高血圧症治療

当院は多くの高血圧症の患者さんに通院をいただいていますが、実は国内の高血圧症患者数は4300万人に上ると推定されており、日本人の国民病と言えるような病気です。生活習慣の改善やお薬などで血圧のコントロールがうまくいくケースが多い一方、医師が指導したとおりに生活習慣を改善できなかったり、薬を飲まなかったりすることで、血圧を適切にコントロールできていない患者さんも多く居ます。医師の診察と診察の間の診療空白期間はどうしても、患者さんの意思や行動にかかってくるため、正しい服薬や生活習慣の継続が難しい部分があるようです。

高血圧を改善するためには、医師に指導されたことを継続しないといけないですが、毎日医師の診察を受けることはできません。そこで、医師の代わりに診療空白期間をデジタルアプリの力で患者さんのサポートをしようというのが、この高血圧DTxです。まだ完成しているものではないので中身は不明ですが、おそらく次のような機能がついていることが想像されます。

・アプリへの血圧記録や血圧測定の通知(Bluetooth連携の血圧計とセットで自動入力か?)

・医師の指示通りの用法用量の服薬サポート(目安の時間になったら通知か?服薬無しの患者さんが使用対象なら不要?)

・教育コンテンツ(高血圧という病気の理解や生活習慣改善に関する読み物や動画か?)

・相談機能(チャットボットか?オンライン相談か?オンライン診療か?)

・患者と医師の双方で確認できる血圧のデータ管理

---ここからはかなり希望が入ってきますが、、、---

・食事の記録(写真撮影→AIが食事内容を自動認識→栄養状態とくに塩分量など算出)

・運動の記録(スマホのGPSや加速度センサーで、徒歩やランニングによる消費エネルギー計算)

 

この記事には次のような記載があります。

降圧薬による治療を受けていない20歳以上65歳未満の本態性高血圧症患者390人を対象に行った国内臨床第3相(P3)試験「HERB DH-01」では、高血圧症治療ガイドラインに基づく標準的な生活習慣の改善指導を行う群と、それにアプリを追加した群とで血圧の変化を比較。その結果、主要評価項目である「12週間後の自由行動下血圧測定(ABPM)による24時間収縮期血圧のベースラインからの変化」は、対照群でマイナス2.5mmHgだったのに対し、アプリ群ではマイナス4.9mmHgと、有意な降圧効果が示されました。両群の差である2.4mmHgの降圧は、脳心血管疾患の発症リスクを10.7%下げると考えられるといいます。」

降圧薬による治療を受けていない患者さんで試験を行っているということですので、このアプリを使用し生活習慣の改善を行えば薬を出さずに血圧の改善が望めるかもしれない。薬を使用する一歩前の高血圧治療の選択肢となるかもしれないのです。

治療法の選択が増えることは患者さんにとっても良いですし、薬を使用しなくても済むというのは日本の増大する医療費にとってもありがたいことでしょう。

今の日本ではDTxはまだニコチン依存症治療アプリの1つしかありませんが、今後、このような治療用のアプリが続々と登場してくることが予想されます。NASH(非アルコール性脂肪肝炎)や各種依存症、糖尿病などの慢性疾患が主な対象でしょう。筆者も若干高血圧でさらにNASH気味ですので、登場したらぜひアプリによる治療について先生に相談してみたいと思いました。

当院のDTx(デジタル治療)についてはこちらのページに記載しております。

N.Nishi

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